「馬場状態」は、競馬のレースを予想するにあたって必須とも言える要素です。
これは天候や各会場の芝質の影響も受けるため非常に複雑で、毎回正確に把握するのはどれだけ競馬が上手い人でも難しいです。
しかし、馬場状態について少しでも知識があれば、好走しそうな穴馬を見つけられたり、逆に人気馬の中から適性を判断して切るという判断もできるようになり、非常に有利になります。
強い馬なら馬場状態になんか左右されずに勝てちゃうんじゃないの?
このように思う方もいらっしゃると思います。
しかし、どんなに能力が高い馬でも、馬場状態がその馬にとって不利な状況になれば、凡走してしまう可能性は高くなります。
例えば、2024年の宝塚記念が非常に分かりやすく馬場状態に左右された結果でした。
この日の京都競馬場の芝コースは、連日の雨と開催最終週という事から、内側の芝も荒れ、非常にタフな馬場でした。
当日は曇りで雨は降っていませんでしたが、「重馬場」となっておりました。
出走前は、あの最強馬イクイノックスに日本ダービーで先着した実績を持つドウデュースが1番人気、天皇賞春で勝利し、前年の宝塚記念でも勝利を収めているジャスティンパレスが2番人気でした。
結果、ドウデュースとジャスティンパレスは6着と10着に凡走し、3番人気のブローザホーンが1着、穴馬のソールオリエンスが2着、べラジオオペラが3着となり、荒れた一戦となりました。
この結果の原因は非常に明確でした。
ドウデュースもジャスティンパレスも良馬場の方が得意な馬だったのです。特にジャスティンパレスは馬柱を見ると非常に分かりやすく、良馬場に好走実績が偏っていました。
ブローザホーン・ソールオリエンスは重馬場でこそ高い能力を発揮するタイプで、べラジオオペラはどちらかというと良馬場の方が得意ですが、重馬場でもパフォーマンスを落としにくいタイプでした。
ウマリーは重馬場でも実力を出し切れて、先行して長く良い脚を使えるべラジオオペラからブローザホーンとソールオリエンスへのワイド流しが的中して、回収率1000%超えの高配当を得ることが出来ました。
このように、馬場状態の有利不利が分かっていれば、馬券を絞りながら穴馬を自信もって狙う事も出来ます。
ぜひ最後までご覧頂き、馬場状態の知識を少しでも身につけられたら嬉しいです。
馬場状態はクッション値に大きく影響を与えますが、クッション値を詳しく知る人は未だ少ないです。
本記事でご紹介する「馬場状態」にも深く関わる内容です。私もこれを読んで馬券の成績を伸ばす事が出来ました。興味がある方はぜひ読んでみて下さい。
馬場状態の種類は?
馬場状態は、路盤の締め具合を4つに区分化されています。
晴れの日が続くと、路盤はほとんど水分を含まないので、良馬場になります。
開催前日に雨が降ったり、開催中に雨が降ったりすると、路盤が少しだけ水分を含み、稍重馬場になります。
開催までに雨が連日降り続いたり、開催中に強めの雨が降ったりすると、重馬場にまでなることも多いです。
東京競馬場や阪神競馬場、改修後の京都競馬場のように路盤の排水性能が高いコースでは不良馬場にまでなることは滅多にありませんが、新潟・函館・福島・小倉・札幌競馬場といったローカル競馬場では、大雨が降ると路盤に水が浮き出してくる不良馬場になることもあります。
ではこの馬場状態の区分は、どのようにして決められているのか。
馬場の水分量(含水率)は、坂の上下や日当たりによっても微妙に異なるため、馬場の水分量だけでは区分は判別し切れません。
そのため、馬場状態の区分は、競馬主催者(JRA)が実際の砂・土の状態を調査して総合的に判断します。
含水率は、その区分を判別する際の参考材料の一つなのです。
それぞれの馬場の特徴
ここからは、芝コースとダートコースのそれぞれについて、各馬場状態おける特徴を解説していきます。
各競馬場のコースによって芝の種類や砂の種類が異なるため、馬場状態が結果に及ぼす影響も微妙に異なりますが、まずは大まかな特徴と影響を捉えることが重要です。
芝コース
良馬場
芝の良馬場は、水分が少ないため走りやすく、走行中に脚を取られることもありません。
そのため、競走馬が一番スピードを出しやすい馬場と言えます。
このことから、以下のような特徴が出てきます。
- 時計(走破タイムや上がりタイム)が速い→高速馬場になりやすい。
- 瞬発力が生きる→末脚勝負になりやすい。
特に開催初週の中山競馬場や新潟競馬場はこの高速馬場の傾向が強く出てきます。
高速馬場の判断基準は、前開催や平均の走破時計と比べるなどすると分かりますが、上り3ハロンのタイムからも読み取ること出来ます。
上りが33秒台以内になると、それだけスピードを出しやすい馬場になっていると判断できます。
- 逃げ・先行馬の前残り展開になりやすく有利。
- 差し・追い込み馬は届きにくく不利になりやすい。
高速馬場になると、逃げ・先行馬もスピードを出しやすくなります。
また水分量が少なく馬場が軽いので、脚への負荷も少なく、スピードを維持しやすいです。
そうなると、逃げ・先行馬がスピードに乗ったまま前で粘ることになり、結果的に前残り決着になりやすいのです。
特に中山競馬場や福島競馬場や京都競馬場内回りなどの直線が短いコースでは、この特徴が顕著になります。
直線が短い分、差し・追い込み馬がより前に届きにくくなるのです。
直線が長いコース(東京・阪神・京都外回り・新潟・中京競馬場)
直線が長いコースでは、差し・追い込み馬がトップスピードに乗ってからゴールまで距離があるため、そのスピードで逃げ・先行馬に届くことが多いのです。
この場合は末脚勝負なり、特に馬の実力が結果に表れやすいのも特徴です。
上記のコースでは、上がりが速く強い馬から予想していくようにしましょう。
それでも極端な高速馬場になると前残り決着の傾向が強まることもあるので、当日の時計と好走馬の傾向をチェックしておくことも大切です。
稍重馬場
- 良馬場が得意な馬と重馬場が得意な馬のどちらも好走しやすい
- 良馬場よりも、紛れで荒れる結果になりやすい。
芝の稍重馬場が、予想する馬場としては一番難しいと言えると思います。
というのも稍重馬場は、良馬場と重馬場の中間のような扱いなので、良馬場で好走していた馬も変わらずパフォーマンスを維持できる場合が多いのと、重馬場や不良馬場のような道悪馬場が得意な馬も好走する場合があるのです。
そのため、稍重馬場の時はあまり馬場状態に縛られて予想しないように意識することが大切です。
また、良馬場よりも芝が濡れて滑りやすく走りにくいため、馬が足を滑らせるなど予想できない不利を受けることもあり得ます。
そうなると、紛れで穴馬が着内に入ってくることもしばしば。。。
その場合は、外れても深く落ち込まずに次のレースの予想に専念しましょう。
場合によってはレースを「見」することも競馬で負けない一つの手です。
重馬場
芝の重馬場は、路盤が水分を多く含むことで脚への負荷が大きくなり、スピードを出しにくくなります。
そのため、重馬場では全体的にタイムが遅くなります。(時計がかかるとも言います。)
- スピードを出しにくくなる→パワー重視の傾向になる。
- 時計がかかるようになる。
- 瞬発力を発揮しにくくなる→持続力がある馬が有利になる。
馬場が重くタフになり脚を取られやすくなることで、スピードが武器の馬は力を発揮しにくくなります。
スピードが武器の馬とは、馬場が軽い良馬場が得意な逃げ・先行馬や直線で高い瞬発力で一気にトップスピードまで上げて差し、または追い込む馬のことです。
こういった馬よりも、重い馬場でも普段通り走れるパワーがある馬が有利になります。
具体的には、以下の馬を狙うようにしましょう。
また、時計がかかるようになることで、それまで走破時計が足らずに凡走してきた馬にも勝機が出てきます。
さらに、瞬発力よりもパワーを生かして終始スピードを持続できる馬が有利になります。
重馬場や開催最終週で荒れた馬場の中、パワーと先行力を生かして前で粘り強く走れる持続力がある馬を狙うのがオススメです。
不良馬場
- パワー重視の傾向になる。
- 時計がかかるようになる。
- レース中に土被りや泥水しぶきがかかる。
芝の不良馬場は、重馬場と同じ特徴が多く、基本的にはタフな馬場に脚を取られやすくなり、全体的に時計が遅くなります。
重馬場と異なる点は、レース中の土被りや泥水しぶきがある事です。
水溜まりができるほどの馬場のため、前を走る馬が土や泥水を蹴り上げることで、後ろを走る馬はそれをかぶってしまうという現象が起きます。
それにより、特に他馬に揉まれやすい内枠からだと土被りや泥水しぶきを受ける可能性が高いため不利になりやすいです。
こういった馬場の場合は、外枠からスムーズに運べそうな馬を選ぶのがポイントです。
ダートコース
ダートでは、大まかに言うと芝とは逆の考え方になります。
良馬場ほど脚への負荷がかかりやすい重い馬場で、重馬場ほど負荷がかかりにくい軽い馬場になります。
また芝とは異なり、内外の荒れ具合に差が出ないのもダートの特徴です。
良馬場
ダートの良馬場は、水分量が少なく、砂がパサパサした状態になります。
それにより脚が取られやすくなり、非常に負荷が大きく重たい馬場になります。
砂浜で走る時の状態を想像すると分かりやすいと思います。
パサパサした砂では、脚が沈みやすいので走るのによりパワーが要りますよね。
- パワー重視の傾向になる。
- 時計がかかるようになる。
- レース中に砂被りがある。
普通に走るのにパワーを要するため、芝のように後半や直線に向いてからの瞬発力勝負にはなりにくいです。
差し・追い込み馬も道中でスタミナを消耗しやすいので、直線で差すだけの体力も残りにくく、差し・追い込み脚質というだけで不利になります。
これにより、ダートは特に逃げ・先行馬が有利になります。
さらにダートでは、馬が走る際に砂を蹴り上げるため、後ろの馬が砂を被る現象が起きます。
逃げ・先行馬であれば、前を走る馬が少なくなり砂を被る可能性が低くなるので、さらに有利になります。
また枠順でもこの砂被りの有利不利が出てきます。
芝の不良馬場でお伝えしたように、内枠の馬は馬群に揉まれやすいので、ダートでも外枠の馬の方が砂被りしにくく、スムーズに競馬を出来ます。
ダート良馬場では、外枠の逃げ・先行馬を狙うべき。
稍重・重馬場
ダートの稍重馬場、または重馬場になると、砂が水分を含んで固まりやすくなります。
それにより脚抜きが良くなり、スピードを出しやすい馬場になります。
- スピード重視の傾向になる。
- 時計が速くなる。
- 砂被りもしにくくなる。
良馬場ではパワーが足らず凡走した馬も、稍重・重馬場になるとスピード性能を生かして好走するようになります。
スピード重視になるという事は、瞬発力を生かした差し・追い込みもしやすくなるため、上りが速い馬には注意が必要です。
砂が固まることで砂の蹴り上げや巻き上げも減るため、砂被りの傾向も弱まり、内枠が走りやすくなります。
ただ脚抜きが良いことで時計も速くなるため、坂が無かったり、直線が短いコースでは逃げ・先行馬がそのまま残る場合もあるため、コース形態を含めた予想も必要です。
不良馬場
ダートの不良馬場は、稍重・重馬場とは少し異なった傾向になることがあります。
- 稍重・重馬場よりもさらに時計が速くなる。
- 水溜りができることで走りにくいため、稍重・重馬場よりも時計が遅くなる場合もある。
- 泥水被りがある。
基本的には、さらに砂が水分を含んで固まるため、脚抜きがよく、稍重・重馬場よりも全体的に時計が速くなる傾向になります。
さらに後ろを走る馬は泥水を被る可能性が高くなるため、逃げ・先行馬が圧倒的に有利になります。
実際にダートコースで不良馬場の場合、逃げ・先行馬の好走が目立ちます。
ダート不良馬場では、逃げ・先行馬を狙うべき。
ただ、水溜りもあるため非常に走りにくい馬場でもあり、全体的に時計が遅くなって差し・追い込みが効いてくる場合もあります。
不良馬場の場合は、必ず当日の好走馬の脚質の傾向もチェックするようにしましょう。
まとめ
これまでお伝えした各馬場状態について、分かりやすく下のようにまとめました。
- 良馬場:高速馬場になりやすい→逃げ・先行馬が有利。
- 良馬場:直線が長いコースでは末脚勝負になりやすい→上がりが速く強い馬が有利。
- 稍重馬場:良・重馬場どちらが得意でも好走する→選択肢が広く難しいため、無理に買わない。
- 重馬場:パワー重視で時計がかかる→荒れ馬場・重馬場実績がある馬、持続力が武器の馬を狙う。
- 不良馬場:パワー重視で時計がかかる。土被り等がある→外枠からスムーズに運べそうな馬を選ぶ。
- 良馬場:パワー重視で時計がかかる。砂被りも起こる。→外枠の逃げ・先行馬を狙う。
- 稍重重、馬場:スピード重視で時計も速くなる。→上りが速い馬には注意が必要。
- 不良馬場:さらに時計が速くなる。泥水被り等がある。→逃げ・先行馬を狙う。
馬場状態は、レースの着順に大きく影響を及ぼします。
これを知らずして競馬の予想は成り立たないと言っても過言ではありません。
しかし最後まで読んで下さった皆さんは、もう馬場状態の基本知識を身に付けています。
皆さんのこれからの競馬予想に少しでも役に立てたら嬉しいです。
馬場状態の基本知識を把握出来た方は、ぜひ「クッション値を読む」を読んでみて下さい!
馬場の変化や読み取り方についてさらに理解が深まり、他の人にない視点で穴馬を捉えることができます。
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