「レース回顧ってなに?」
「レースを見返して意味あるの?」
「レース映像を見て何が分かるの?」
こんな風にレース回顧に対してネガティブな印象を持つ方は多いと思います。
レース回顧には少なからず時間がかかりますし、どこを見るべきか分からないと
難しい印象がありますが、見るべき要点を抑えれば、
実はそれほど難しいものではありません。
この記事では、まずレース回顧をする事の大切さと見ることのメリットを
出来る限り分かりやすくお伝えします。
レース回顧の詳しいやり方について知りたい方は以下の記事をご覧ください。
レース回顧ってなに?
レース回顧とは、文字通り「レース」を「回顧」する、つまり振り返ることです。
レースの着順は、ペース・展開・馬場状態・各馬の脚質・騎手の騎乗方法など、
さまざまな要素が複雑に絡み合って決まります。
レースを振り返ることで、その情報を今後の自分の馬選びや馬券に生かし、回収率を上げることが出来ます。
レース回顧のメリット
・次走の穴馬を見つけられる
・その時期の馬場状態を把握できる ・次走過剰人気になりやすい馬を見つけられるレース回顧は、自分の競馬知識や相馬眼が鍛えられるのと同時に回収率向上にも繋がります。
総回収率が100%を超える人や競馬が上手い人は、レース回顧をしている人が多いです。
そしてそういった人は、全体のほんのひと握りしかいません。
レース回顧をすることで、大衆とは異なる視点や気づきを得られ、
結果として穴馬やおいしいオッズで馬券を買えることに繋がります。
ここからは、レース回顧のポイントをお伝えしていきます。
レース回顧で何を見るの?
これからお伝えすることは、馬柱に載っていないながらも非常に重要なことです。
ですが、分かるようになると他の人に差をつけられる要素です。
なぜかというと、
多くの人は過去のレース映像を見ないで、馬柱のみで予想して馬券を買うからです。
レース映像を見て振り返り、考察することは時間的にも労力的にも大変です。
しかし、その大変なことを続ける努力をしている人が、競馬では勝ちやすいのです。
レース映像には、馬柱だけでは分からない、非常に多くの情報が詰まっています。
その中でも、
この3つが特に大事で、馬柱からは読み取れない情報です。
それぞれについて、要素をさらに細分化しながら説明していきます。
「展開」の有利不利を見る
出走馬・馬場状態・コース形態などで展開は無数の可能性がありますが、
展開を見るときのポイントは次の3点です。
ペースは速い?遅い?
- 短距離では、前半3ハロン(600m)の通過タイム
- 中距離以上では、前半3ハロン(600m)と1000mの通過タイム
を確認します。
通過タイムが速ければ、特に逃げ・先行馬は前半でスタミナを使ってしまうため、後半で余力が無くなることで後方勢が前団に届きやすく、差し有利の展開が予想できます。
通過タイムが遅ければ、全体的に前半でスタミナを温存しながら走っているということであり、前を走る逃げ・先行馬もスタミナを温存しやすいので、後半でもスピードを落としにくく、逃げ先行有利な前残り展開になることが予想できます。
芝コースの場合の判断基準は、
前半3ハロン(600m)は34秒台以下、1000mは58秒台以下であればハイペースになっていると判断できます。
逆に前半3ハロン(600m)は36秒台以上、1000mは60秒台以上であればスローペースになっていると判断できます。
ハイペースの場合、逃げ・先行馬が不利、差し・追い込み馬が有利になります。
スローペースの場合、逃げ・先行馬が有利、差し・追い込み馬が不利になります。
つまり「ペース」の視点では、
この2点のどちらかに当てはまる馬を探します。
上記で言う「好走」とは、着順が速いという意味ではありません。
着差(勝ち馬との走破タイム差)が短い馬を探すように意識してください。
同じ2着でも、勝ち馬と0,9秒差の2着と0,1秒差の2着では全く結果の捉え方が変わるからです。
0,9秒も離されていると勝ち馬との実力差があり過ぎるので、信用できない2着と捉える必要があります。
0,4秒差以上付けられていたら、勝ち馬とは力の差が大きいと判断して良いです。
0,3秒差以内に好走した馬を評価するようにしてください。
0,3秒差でも、実力が拮抗してハナ差やクビ差で4着以下になるレースはよくあります。
不利なペースの中でギリギリの着差ながら4着以下に凡走してしまった馬が、着順だけ見られて次走で人気を落とすところを狙うのです。
ペースによる有利不利は、コース形態によって微妙に変わることがありますが、基本的な認識としてはこれだけ知っていれば大丈夫です。
レース中どの位置で走っていた?
競馬場の開催が進むと、芝コースでは特に内側の芝が荒れてくるようになります。
路盤が荒れて土がむき出しになると、足を取られやすくなるため、馬のレース中の負荷は大きくなり、スピードが出にくかったり、スタミナを消耗しやすくなります。
その為、開催4週目以降などの後半では内ラチ沿いを避けるように走る傾向が強まります。
つまり、
まだ内側の芝が荒れていない時期であれば、道中で内側を走れる馬が有利で、外側を走る馬は距離ロスが大きくなりスタミナを消耗しやすく不利になります。
内側の芝が荒れてくると、荒れていない外側の芝を通れる馬が有利で、内側を走る馬は足場が悪くなるので負担が大きくなり不利になります。
馬場の荒れ具合は、JRA公式サイトに写真付きで載っていますので、そちらをご参考ください。
開催週・馬場の荒れ具合を基にレース映像を見て、出走馬が道中でどの位置を走っていたかを見ることで、有利に運べたのか、不利を受けたのかを判断できます。
距離ロスが大きかったり、負荷が大きい部分を走らされながらも勝ち馬に迫る着差で好走している馬を見つけることが大切です。
「接触」「躓き」「出遅れ」などはあったか?
ネット競馬の馬柱を見ると時々「躓き」「接触」などの短評が書かれております。
これはレース中に明らかに見て分かるような不利があった場合に書かれます。
逃げ先行馬が出遅れたり、最後の直線で他馬に接触した事で馬が失速、またはやる気を無くしてしまうと、全力を発揮出来ずに終わってしまうため、展開不利を確認する為には重要な要素になります。
しかし、実際には馬柱に書かれる短評はほんの一部であり、馬柱に書かれていなくても展開不利を受けている事は多くあります。
この様な状況もれっきとした不利になり、逆にこの不利がなくスムーズに競馬が出来ていれば勝てていたレースだった可能性もあるのです。
しかし馬柱には載らない、レース映像やパトロール映像でしか分からない部分なので、レース映像を見て回顧する事はとても重要なことなのです。
「馬場」の不利を受けた馬はどうなった?
馬場状態も出走馬にとって不利に働く事はよくあります。
例えば芝コースの場合、含水率が低く軽い良馬場の方が得意な馬や雨が降った後の水分を多く含んだ重たい道悪馬場が得意な馬がいます。
軽い馬場が得意なスピード重視の馬が雨天の重馬場で出走してきたら、重たい馬場に脚をとられてスピードを出し切れずに凡走してしまいます。
道悪馬場が得意なパワー重視の馬がパンパンの良馬場で出走してきたら、スピード重視の他馬に追いつけずに凡走してしまいます。
その為、当日の馬場状態と好走馬の戦績を見比べる事もレース回顧の重要な要素になります。
各馬が良馬場が得意なのか、道悪馬場が得意なのかは、馬柱を見てみると分かります。
能力が高い馬でも好走したレースが良馬場に偏っていて道悪馬場で凡走している馬柱であれば、明らかに良馬場の方が高いパフォーマンスを発揮する馬であると判断出来ます。
本来なら能力は高いのに馬場状態が合わずに凡走してしまった馬がいれば、次走で好走する可能性もあり、凡走した分オッズも付きやすいので狙い目です。
もちろん、馬場状態について得意不得意が無く、どんな馬場でも好走出来るマルチな馬もいます。
その様な馬は、別の要素で不利がなかったかを確認しましょう。
「状態面」での不利はあったか?
馬も人間と同じ生き物なので、やる気が出なかったり、体の調子が悪かったりして、本来の実力を発揮できないケースがあります。
ここでは、そのような馬の状態面での不利を見極めるポイントをお伝えします。
馬体重の増減は?
馬の体調面は、馬体重の増減から読み取ることができます。
着目すべきなのは、馬体重が大幅に増減した場合と原因です。
具体的には15キロ以上の増減をみるべきだと考えています。
10キロ程度の増減も大きく見えるのですが、馬はボロによって数キロ程度の変化は日常茶飯事なので、10キロ程度であれば気にする必要はありません。
大幅に増加していた場合、時期が冬だったり、休み明けが原因になるとマイナス要因になります。
これにより凡走した場合は、次走が叩き2戦目で上積みが期待できたり、冬で次走以降馬体重が絞れると買いの要素になります。
大幅に減少していた場合は、時期が夏だったり、輸送が原因になるとマイナス要因になります。
これにより凡走した場合は、調教により次走で馬体重を戻したり、輸送がなくなると買いの要素になります。
パドックでの様子はどうだった?
パドックから分かる主な情報は、馬の気配(やる気)や体つき、テンション、歩様です。
特に注意すべきは、体つきです。
馬を見る目は人によって見え方が違うことが多いので、多少のチャカつきや歩様の違いであれば気にする必要はありません。
しかし、明らかに気配が感じられなかったり、腹回りが太かったりするとマイナス要因になります。
休み明けで体が絞れずに太いまま出走してくる馬は多いです。つまり、叩きのレースとして陣営が捉えている可能性があるということです。
次走のパドックで体が絞れていたり、気配が改善されていたり、前走よりも落ち着いて回れていると、買いの要素になってきます。
休み明けかどうか?
「馬体重の増減は?」と多少重複しますが、休み明けかどうかもレース回顧の重要なポイントになってきます。
何か月も出走期間が空いてしまうと、馬のレース感覚が鈍くなったり、馬の体つきも緩くなります。
人で言うところの運動不足の感覚に近いと思っています。
厩舎も次走以降のレーススケジュールに合わせて調教を行い、出走させますが、目標が2・3走先のレース(特に重賞レース)だったりすると、休み明けの1戦目は調教の延長で叩きレースとして出走させるケースも多くあります。
その場合は、能力が高い馬でも、厩舎もそれほど勝ちにこだわっていなかったり、馬の体が絞り切れていなかったりで凡走することが多いです。
以上より、ひと叩きした後の次走は経験の上積みが期待できたり、馬体が絞れれば買える要素となります。
レース回顧するとどんなメリットがある?
レース回顧は労力と時間も必要ですが、それ以上に多くのメリットがあります。
ここからはそれらを一つ一つお伝えしていきます。
能力のある馬を見抜ける
コース形態や展開、馬場状態といった当日の状況を踏まえた上でレース映像を見てみると、不利な状況下でも好走する馬がいます。
また下記のような馬も高い能力があると判断できます。
このような馬は、間違いなく能力が高く、重賞クラスにも通用する素質がある場合もあります。
能力が高い馬は分かりやすく人気しやすいため、オッズは低くなりがちです。
メモしておいて、連系や3連系馬券の相手や紐で押さえられるようにしましょう。
「穴馬」を見つけられる
不利を受けてしまうと、能力が高い馬でも本来の実力を発揮できずに終わってしまいます。
ただ凡走すれば、次走以降で確実にオッズはつきやすくなります。
そこで適正なレース条件で出走できれば、オッズがつきながらも好走率が上がるため、
期待値も高くなります。
レース回顧は、穴馬を見つける近道にもなるのです。
軸馬の精度が安定する
レース回顧をすれば、明らかに他よりも能力が高い馬を見つけることもできます。
そういった馬は勝ち方も派手なことが多く世間にも分かりやすいため、
オッズは低く人気しやすいですが、本当に素質がある人気馬をレース回顧で限定して選べるため、
軸馬にすれば、非常に精度は高くなります。
1頭軸で馬券が組みやすくなり買い目が減らせる
連系馬券や3連系馬券の2頭軸の相手にも最適です。
精度が高い素質馬を見抜けるため、穴馬と絡めれば回収率と共に的中率もある程度担保できます。
馬券を絞ることもできるため、必然的に回収率の向上にも繋がります。
レースの展望を予想しやすくなる
レース回顧をしていると、各馬の情報や各コースの情報が身に付きます。
さらに馬場状態や各馬の脚質によるレース展開の情報も自分の中に蓄積されていくため、次に予想するレースがどのような展開になりそうかを想像しやすくなります。
競馬初心者やレース回顧をし始めたばかりの方は、知識が少ないため一つ一つ調べながら予想する必要があるため、時間がかかります。
レース回顧を続けることで、色々な知識や経験が蓄積され、レースの展望が想像しやすくなります。
そして結果として、予想にかかる時間も短くなるのです。
まとめ
レース回顧ができるようになると、確実に予想や馬選びの精度は高くなります。
穴馬も見つけやすくなり、回収率向上にも繋がります。
各馬の情報が蓄積されていけば、予想にかかる時間も短縮されていきます。
はじめは慣れるまで時間がかかりますが、ここまででお伝えした各ポイントを抑えるだけでも格段に成績は変わるはずです。
近年では、特にYouTubeやSNSの発達で情報の入手がよりしやすくなり、大衆の予想力も確実に向上してきています。
「この馬、次走で美味しく買えそうだ」
と思っても意外とオッズがついておらず、世間にバレているなんてこともあります。
競馬でより回収率や的中率などの成績を上げるためには、馬1頭1頭の精査も重要な時代に突入しています。
時代に置いて行かれないためにも、ぜひレース回顧をやってみてください。
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